研究室の紹介

  私たちは何かを見たとき,特に努力しなくても瞬時に分かるように感じます。しかしその瞬間に,脳は情報を分解したり,まとめたりといった複雑な作業を行っています。しかも周りにあるたくさんのさまざまな対象からの感覚入力は,それら対象の変化や,私たち自身の動きによっても刻一刻と変化します。脳はそれらに対してどうやって対処しているのでしょうか。本研究室では,行動実験に加えて,一瞬の心理過程を顕微鏡のように拡大して客観的に観察可能にする脳波・事象関連電位(ERP)をおもな研究手法として,脳内の意識的および無意識的な処理過程について理解を深めるための研究を行っています。

 なお,本研究室は,基礎心理学と臨床心理学の統合を標榜する特殊教育・臨床心理学研究グループから特殊教育・生理心理学研究室への分岐を経て,2015年に「視知覚認知過程論」へと名称を変更しました。私たちの生活や学習を支える機能としての視覚に着目し,その仕組みを解明するプロセスから教育や適応に関わる問題解決への手がかりを得ることを目指しています。